関節モビライゼーションの基礎知識:副運動

関節モビライゼーションとは

関節可動域を評価する際、自動運動テストと他動運動テストを行い、症状の有無、角度差、抵抗感などから原因を考える、というのは、学校、実習などで習うと思います。

他動運動と比較して、自動運動が著しく制限されているとき、原因は何でしょうか? 

例えば、自動運動で肩関節屈曲90°、他動運動では170°だった場合、疼痛などがあれば疼痛による制限ですが、疼痛がない場合は、筋機能や神経機能の問題などを考えます。

高齢者、最初は疼痛があって、可動域が徐々に落ちてきたという現病歴だった場合、腱板断裂による筋力低下の可能性があり、その場合、筋萎縮が存在しているかもしれません。

自動運動と比較して、他動運動が同じくらい制限がある場合はどうでしょうか? 

最終域の抵抗感にもよりますが、軟部組織、また、関節組織の問題を考えます。

もちろん、変形などがあれば骨性、炎症があれば腫脹、防御性収縮による筋スパズム、また、長期間担っている場合は拘縮などが原因となっていることもあります。

関節組織、つまり、関節の動きに問題がある場合、関節に介入する必要があります。 

関節モビライゼーションとは、疼痛軽減、筋スパズム軽減、関節包の短縮の改善、位置異常の改善 positional fault のために用いる治療技術の1つです。

さまざまなメソッド(カルテンボーン、メイトランド、パリス、マリガンなど)があり、それぞれ特徴がありますが、関節モビライゼーションを実施する上で大切な基礎知識があります。

今回は、関節モビライゼーションの基礎知識①として、副運動について説明します。

副運動(accessory movement)

副運動は患者自身が自動的に行えないが、他者が他動的に行える関節運動です(メイトランド 脊椎マニピュレーション 原著第7版)。この場合、副運動と関節の遊びを同義語で考えています。

ちなみに、accessory はアクセサリーで「服飾品、装飾品」という意味ですが、医学用語では「副」として用いられています。

一方で、副運動を、関節の遊び(joint play)と構成運動(component movement)の2つとして説明している場合もあります。

関節の遊びには、転がり(roll)、滑り(slide)、軸回旋(spin)、離開(distraction)、圧迫(compression)などがあり、ゆるみの肢位にて他動運動で評価します。

構成運動は、自動運動に伴って起こる関節包内の動きです。1つの関節ではなく、近くの関節も含みます。例えば、膝関節伸展時の、大腿骨に対する脛骨の前方滑り、脛骨の外旋、膝蓋骨の上方滑り、腓骨の上方滑り、です。

関節の遊びと構成運動の2つは、自動・他動運動時に疼痛なく全可動域を動かすため、また、外力を吸収するために必要と考えられています。

例えば、肩関節屈曲の制限があったら、上腕骨の下方滑り(関節の遊び)と、肩甲上腕リズム(構成運動)を考えましょう、ということです。

また、1つの関節の動きだけでなく、連動して動く別部位の関節の動き(運動連鎖)も考慮するといいでしょう。

例えば、肩関節屈曲時の胸椎伸展や第一肋骨下制です。

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徒手療法に関する歴史、基礎理論、関節ごとの評価・治療方法について説明しています。日本語で徒手療法を調べたい場合、この書籍1冊をベースにして、Jstage で他の著者の文献を読んで比較すると知識が整理されると思います。

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