Unit 17 仙腸関節の整形外科テスト:ヨーロッパのガイドライン

前回は、Laslett の cluster を確認しました。

今回は、ヨーロッパのガイドライン「European guidelines for the diagnosis and treatment of pelvic girdle pain(2008)」で推奨されている検査を確認したいと思います。

ヨーローバのガイドラインでは骨盤帯痛の評価として、Thigh thrust(P4 test )、Patrick’s Faber test、palpation of the long dorsal SIJ ligament、Gaenslen ́s test.の4つ、そして機能的骨盤帯の評価として Active straight leg raise test(Functional pelvic test )を推奨しています。

  1. Thigh thrust(P4 test )
  2. Patrick’s Faber test
  3. palpation of the long dorsal SIJ ligament
  4. Gaenslen’s test.
  5. Active straight leg raise test(Functional pelvic test )

Thigh thrust test については、前回確認したので省きたいと思います。

それ以外の4つについて確認したいと思います。

パトリックテスト

  1. 患者は背臥位にて、検査側の足部外側を反対側の膝直上の大腿部に乗せる。
  2. (* 患者自身に股関節外転を指示する。)
    * 疼痛が強い場合や可動域を確認したい場合、私は先に自動運動を行っています。
  3. 次に、セラピストは、一方の手でASISを抑え骨盤を安定させ、もう一方の手で膝を床方向にゆっくり押す。
  4. 疼痛が再現されたら陽性とする。

この Patrik’s test ですが、仙腸関節だでなく、股関節の検査になります。むしろ、股関節OAで陽性になることが多いです。

アメリカ理学療法士協会の変形性股関節症のガイドラインでも、推奨される検査にPatrick’s test が含まれています(3)。

疼痛部位に応じて原因組織を推測し、追加の検査にて確認する必要があります。仙腸関節付近の疼痛が再現されたら仙腸関節、鼠径部の疼痛が誘発されたら股関節の関節組織を示唆します。

また、疼痛の再現だけでなく、可動域の左右差を比較することも重要ですね。

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長後仙腸靱帯の触診

  1. 患者は腹臥位となる。
  2. PSIS下方内側に位置する長後仙腸靱帯を触診する。
  3. 疼痛が再現されたら陽性とする。

長後仙腸靭帯(Long dorsal sacroiliac ligament)は、15 – 30 mm の幅で(Vleeming et al 2012) 、仙骨綾外側(S3, S4)からPSIS、腸骨綾内唇に付着する。

圧痛検査はセラピストが行いますが、患者自身が行う One finger test というのもあります。患者が人差し指を用いて痛みの強い部分を指差す。患者が上後腸骨棘の周囲 2 cm以内を指差せば陽性とする(2)。

Gaensslen’s test

  1. 患者はベッド端に背臥位となる。
  2. 患者は片側の膝を胸方向に抱えて股関節・膝関節を屈曲させる。もう一方の下肢をベッド端からだし股関節伸展位とする。股関節最終屈曲まで下肢をもっていき、反対側の大腿が少し浮く位置を開始肢位とする(by Laslett )
  3. セラピストは患者が抱えている膝を押しながら、もう一方の手で垂らした下肢の膝を床方向に押す。
  4. 股関節屈曲側、また、伸展側に、疼痛が再現されたら陽性とする。

この方法は、同時に押します。股関節屈曲側の仙腸関節には後方回旋の力が加わり、股関節伸展側の仙腸関節には前方回旋の力が加わります。

*Gaenslen’s test ですが、Laslett の研究でも含まれています。

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Active straight leg raise test

(Functional pelvic test )

  1. 背臥位にて、一方の下肢を20cm挙上してもらう。両手でマットを押すのを避けるため、腰椎の動きを観察するために、両手を腹部に置いてもよい。
  2. 口頭指示の例
    「右足を(ちょっと・軽く・少し)天井方向に上げてください」
  3. 疼痛・症状の再現、下肢挙上時の動作、筋活動、代償動作(胸郭・骨盤)、呼吸を確認する。

    臨床で観察される不適切な動作例
    – 骨盤前傾:脊柱起立筋の収縮
    – 骨盤後傾:腹筋群の収縮
    – 骨盤回旋:深部筋の低下
    – 胸郭下制:腹斜筋の収縮

  4. 患者にどのくらいの難易度が6段階で確認する。左右の点数を合計、0〜10点となる(*0点は陰性)。

    0: 全く難しくない no difficult at all
    1: 最小限の難しさ minimally difficult
    2: いくらか難しい somewhat difficult
    3: なかなか難しい fairly difficult
    4: とても難しい very difficult
    5: 全くできない unable to do

    ・・・とありますが、正直、臨床では聞いていないですね。それよりも、次の他動的に骨盤・筋に対して圧迫力を加えて軽減するかどうかを私は重要視しています。

  5. 他動的に骨盤・筋に対して圧迫力を加えて、ASLRを行い、症状や難易度の変化、骨盤の代償の軽減などを確認する。

まとめ

ヨーローバのガイドラインでは、5つの検査を推奨しています。

疼痛が再現されること、仙腸関節付近に疼痛が誘発されることで、陽性と考えます。

背臥位でのGaensslen’s test では、疼痛部位が股関節付近だったり、股関節前面の場合があります。

仙腸関節付近以外の疼痛、普段とは違う疼痛が誘発された場合は、疼痛の質を確認、また、膝伸展角度を調整して原因組織を考える必要があります。

また、側臥位でGaensslen’s test を実施した場合に疼痛が誘発された場合(特に大腿前面)、股関節疾患、L2-4神経根、大腿神経の末梢神経感作との鑑別が必要です。

ヨーロッパのガイドラインでも、荷重した状態でのテスト(例:One leg standing test)は含まれていませんでした。

とういうわけで、次回は、One leg standing test について確認したいと思います。

References 

  1. Vleeming A et al.:European guidelines for the diagnosis and treatment of pelvic girdle pain, Eur Spine journal, 2008
  2. 小澤:仙腸関節痛の診断, 脊椎脊髄29(3), 2016
  3. Hip Pain and Mobility Deficits – Hip Osteoarthritis: Revision 2017

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