Unit 16 仙腸関節の整形外科テスト:Laslett の Cluster(2005)

仙腸関節障害の整形外科テストはたくさんありますが、実際に検査してみて陽性になるテストと陰性になるテストがあります。

感度・特異度の違い、検者間信頼性・検者内信頼性の違い、測定内容の違いなど理由もさまざまです。

「複数のテストを実施して○○個のテストが陽性の場合は○○と判断する」というのがあります。英語では、”Cluster”いう単語で紹介されています。 

仙腸関節障害の整形外科テスト by Laslett

Mark Laslett et al. (2005)が発表した仙腸関節の整形外科テストの組み合わせは、臨床でよく用いられているCluster の1つです。

テストは全部で4つです。

  1. Distraction test
  2. Thigh thrust test
  3. Compression test
  4. Sacral thrust test 

4つのテスト(distraction、compression、thigh thrust、sacral thrust)のうち2つが陽性の場合、仙腸関節障害として判断します。

Thigh thrust(感度88%/特異度69%)が最も感度が高く、Distraction test(感度60%/特異度81%) が最も特異度が高いです。

研究では、Genslen’s test も含まれていましたが、Gaenslen’s test を除いても尤度比が良好な結果であったことから、Laslett は次の手順で評価するといいと提案しています。

【手順】

  1. 初めに、特異度の高いDistraction test、次に 感度の高いThigh thrust testを実施します。2つとも陽性であれば、仙腸関節障害と判断し、その他のテストをする必要はありません。
  2. Distraction test と Thigh thrust test のうち、どちらか1つが陽性であれば、次に、側臥位にて Compression test を実施します。陽性であれば、仙腸関節障害と判断し、その他のテストをする必要はありません。
  3. Compresssion test が陰性であれば、腹臥位にて Sacral thrust test を実施ます。このテストが陽性であれば、仙腸関節障害と判断します。
  4. 全てのテストが陰性であれば、仙腸関節障害の可能性が低くなります。

推奨される手順はありますが、4つのテストをして2つ陽性かどうか確認してみよう、ということです。

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Distraction test

  1. 患者は背臥位にて、セラピストは左右のASISに手掌を置く。
  2. 背側方向に数回、穏やかに力を加え、必要に応じて最後にスラストを行う。

疼痛が再現されたら陽性とします。仙腸関節前方に対して離開ストレス、後方に対して圧迫ストレスとなります。

手のコンタクトプレッシャーによってASIS付近の疼痛を誘発するので注意です。

Thigh thrust test

  1. 患者は背臥位にて、セラピストは検査側の反対側に立つ。
  2. 検査側の股関節を90°屈曲および内転させ、一方の手で仙骨を固定する。
    *事前の股関節のスクリーニングで、FADIR陽性の場合は疼痛誘発してしまうので注意しましょう。
  3. 体幹&腕(または手)で大腿の長軸方向に数回、穏やかに力を加え、必要に応じて最後にスラストを行う。

疼痛が再現されたら陽性とします。仙腸関節に対して後方への剪断ストレスとなります。

原本では検査側の反対側に立って、反対側の仙腸関節を検査しますが、書籍によっては検査側に立って同側の仙腸関節を検査しています(2)。

このテストですが、お尻を固定します。特に女性に対して実施する場合は必ず「骨盤を固定しますのでよろしでしょうか」と確認をとりましょうl

Compression test

  1. 患者は検査側を上側にした側臥位とする。セラピストは両手を腸骨稜上部(ASIS付近)に置く。
  2. 下方に向かって、数回、力を加える。

疼痛が再現されたら陽性とする。

仙腸関節前方に対して圧迫ストレス、後方に対して離開ストレスとなる。

Sacral thrust test 

  1. 患者は腹臥位にて、セラピストは手を仙骨の上に置く。
  2. 腹側方向に数回、穏やかに力を加え、必要に応じて最後にスラストを行う。

疼痛が再現されたら陽性とする。

仙腸関節に前方への剪断力を加える。

動画学習

 
整形外科テストの動画は、世界中の人がアップしています。
 
今は、You tube で勉強できる時代です・・・が、動画で確認する場合は複数みることをおすすめします。
 
手の向きが違ったり、説明が微妙に違ったりします。
 

Mark Laslett (ニュージランドの研究者、理学療法士)もFacebook で自ら動画を公開しています。合わせて視聴してみてください。

Thrust test はけっこうガンガン負荷を加えています。

Dr Mark Laslett の動画(外部リンク Facebook)

 

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まとめ

Laslett のCluster はとても有名で、かつ臨床で実践されています。

ここでは4つのうち2つと述べましたが、Ganslen’s test を含めて5つのテストのうち3が陽性だと仙腸関節障害の可能性がより高いと日本の教科書では説明されている場合もあります(2)(3)。

しかし、Laslett のCluster が陰性だとしても、仙腸関節障害の可能性は残されています。

なぜなら、ここで挙げられた疼痛誘発テストはすべてセラピストが負荷を加えるテストだからです。

仙腸関節障害の1つの病態に、”下肢の負荷が骨盤に加わることで疼痛が誘発”というのがあります。

Force closure の問題がないか評価する必要があります。患者が自動で下肢を挙上するなどして負荷が加わった時に疼痛が誘発されるか確認します。

代表的な検査として、ASLR、One standing leg test(Gillet test / Stork test)などがあります。

他にもLaslett では紹介されていない触診テストや、疼痛誘発された時にすぐに仙腸関節のモビライゼーションしながら、再度、疼痛誘発動作を行い疼痛の軽減・消失を確認するといった方法もあります(Mobilisation with movement)。

次回は、ヨーロッパのガイドラインについて確認したいと思います。

References

  1. Mark Laslett et al. :Diagnosis of Sacroiliac Joint Pain: Validity of individual provocation tests and composites of tests, Manual Therapy, 2005
    *当時の雑誌名、現在はMusculoskeletal Science & Practice に変更
  2. 成田・他:脊柱理学療法マネジメント−病態に基づき機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く, メジカルビュー, 2019
  3. Diane Lee:The pelvic girdle, Churchill Livingstone, 2010

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