Unit 12 Yellow flags の評価:破局的思考

疼痛・症状の原因や改善に影響を与える心理社会的要因を、”Yellow flags”といいます。

具体的には、うつ、不安、破局的思考、恐怖回避思考、自己効力感(の低下)などがあります。

不安を感じる人、不安を感じやすい人は痛みはを感じると、否定的な感情やネガティブな情報によって、破局的思考に陥り、さらに痛みに対する不安や恐怖心が引き起こされ、悪化を防ごうと過度に回避する行動をとるようになります(恐怖回避モデル)。

破局的思考とは

現在および将来の痛みに起因する障害を過大評価するとともに、その考えから離れられなくなる過程のことを葉局敵思考といいます(1)

破局的思考には、3要素があります。

  • 反芻(はんすう)(Rumination):痛みのことが頭から離れない
  • 拡大視(Magnification):痛みの強さ、また、痛みにより起こりえる問題を実際より増幅して考える
  • 無力感(Helplessness):痛みに対して自分では何もできない

Pain Catastorophizing Scale(PCS)

破局的思考の評価では、Pain Catastorophizing Scale(PCS)が用いられます。

先程の3要素(反芻・拡大視・無力感)を評価しており、1項目0-4点、合計52点です。

  • 反芻(はんすう)(Rumination):問8、9、10、11
  • 拡大視(Magnification):問6、7、13
  • 無力感(Helplessness):問1、2、3、4、5、12

高橋(2016)の研究では、問1は反芻の因子に含まれていたと報告しています(2)。

このPCSですが、Sullivan(2009)のPCSマニュアルによると、30点以上を破局的なレベルを表す、としています。また、30点以上の70%は受傷後1年も雇用されていない(unemployed)とあります。雇用されていない理由が、雇用主側の理由なのか、従業員側の理由なのか記載がないので、そこは???ですが。

自己記入式問診用紙によっては軽度・中度・重度と段階的な評価がありますが、このPCSはありません。

点数だけを基準にするのではなく、3要素を考慮し、質問の答えについてどうしてなのか、どう感じているのか確認することが必要でしょう。

Pain Catastorophizing Scale(PCS)

    1. 痛みが消えるかどうか、ずっと気にしている。(無力感 or 反芻)

    2. もう何もできないと感じる。(無力感)

    3. 痛みはひどく、決して良くならないと思う。(無力感)

    4. 痛みは恐ろしく、痛みに圧倒されると思う。(無力感)

    5. これ以上耐えられないと感じる。(無力感)

    6. 痛みがひどくなるのではないかと怖くなる。(拡大視)

    7. 他の痛みについて考える。(拡大視)

    8. 痛みが消えることを強く望んでいる。(反芻)

    9. 痛みについて考えないようにすることはできないと思う。(反芻)

    10. どれほど痛むかということばかり考えてしまう。(反芻)

    11. 痛みが止まって欲しいということばかり考えてしまう。(反芻)

    12. 痛みを弱めるために私にできることは何もない。(無力感)

    13. 何かひどいことが起きるのではないかと思う。(拡大視)

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まとめ

「話をしていても話題は痛みのことばっかりになる」「痛みはどうですか?と聞くと痛みに関して訴えが強い」「痛みに対してもうだめだ感がすごい」といった感じがあると、破局的思考がありそうだと感じます。

PCS を用いることで、患者自身が自分自身の歪んだ認知に気づくこともあります。

PCS実施後「私、痛みをすごい気にしている」と患者本人が言う場合は、破局的思考、恐怖回避行動、恐怖回避モデルと慢性疼痛について説明をしやすいです。

もちろん、そうでない場合も多いので、その場合はセラピストが説明する必要があります。

Reference 

  1. 西上・壬生:痛みに対する評価とリハビリテーション方略 -臨床でのスタンダートを目指して- , 2014
  2. 松岡・坂野:痛みの認知面の評価:Pain Catastrophizing Scale日本語版の作成と信頼性および妥当性の検討, 2016
  3. Sullivan JL M:The Pain Catastrophyizing Scale User Manual, 2009
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