Unit 1 徒手療法とは

徒手療法とは

徒手療法ってどんなイメージがありますか?

「徒手療法は何をしているんですか?」と聞くこと、聞かれたことあるかと思いますが、定義を知ると質問の仕方を変えようかな、と思うかもしれません。

国際整形徒手理学療法士連盟(IFOMT:International Federation of Orthopaedic Manipulative Physical Therapists)は、

「整形徒手理学療法とは、クリニカルリーズニングに基づき、徒手的治療技術・運動療法を含む特異性の高い治療アプローチを用いて神経筋骨格系の疾患をマネジメントする理学療法の1つの分野である。

また、整形徒手療法は科学的・臨床的に有効なエビデンスと個々の患者の生物心理社会的な枠組みによって実施される。」

と定義しています。

徒手療法は、”セラピストの手を使って治療する手技”、”ハンズオンテクニック”と考えられることがけっこうありますが、そうではないんですね。

クリニカルリーズニング、徒手的治療技術、運動療法、マネジメント、エビデンス、生物心理社会的モデルといったキーワードが含まれていますね。

このマネジメントという言葉ですが包括的アプローチにつながるような気がして、”治療する”という表現よりも、個人的には好きな表現です。

セラピストの徒手的な治療、運動学習、エクササイズ、そして、患者教育を用いてマネジメントすることが大切です。

特に、患者教育では、患者が考えていること、感じていること、信じていることを把握し、修正する必要があります。

また、身体機能・構造だけに着目するのではなく、活動、参加、個人因子、環境因子といったICFモデルを念頭に、生物心理社会的モデルを考え、患者の認識を評価・修正していくことが大切です。

Sponsored Link

世界中にあるさまざまなメソッド・コンセプト

世界中にはたくさんのメソッド(方法・手法)、コンセプト(考え方・概念)があります。Kaltenborn、McKenzie、Mulligan、Maitland、Paris、MSI、DNS、ヤンダー、ドイツ徒手医学、AKA、SJF etc. があります。

ハンズオンテクニックが中心のメソッドもあれば、運動パターン、発達生理学などを軸に考えられたコンセプトなどさまざまです。

その国発祥のメソッド・コンセプトをその国のセラピストがしているわけではありません。オーストラリア留学前は、オーストラリアではメイトランドをしているセラピストが多いんだろうなぁと思っていましたが、実際は違いました。

オーストラリアの理学療法士の中でも、メイトランドに対して否定的な意見もありました。

さて、いろいろなメソッド・コンセプトがありますが、どのメソッド、コンセプトを学べばいいのでしょうか。

すべてのメソッドを網羅するには、金銭面、時間面、体力面、脳力面で難しいものがあります。網羅しようとしている凄いセラピストもいますが・・・いくつかのメソッドを学んでいく中で、おのずと自分自身のメソッドができてくる場合もあります。

どのメソッド・コンセプトも、それぞれ特徴があり、どれが正しい、どれが良いというのはないと思います。

1つのメソッドだけで患者・クライアントに対応するというのは、迷いはないですよね。

ただ、個人的に思うのは、1つのメソッドしか知らないと、そのメソッドで対応できない場合に困ってしまいます。

また、このメソッドで対応できないと判断できないセラピストの場合、自分自身の考え、メソッドに患者・クライアントを合わせていく、引きずり込んでしまう可能性があります。

さまざまなメソッドがありますが、どのメソッドも哲学があります。

  • 理論型:機能解剖、バイオメカニクス、凹凸の法則などを基本とする
  • 反応型:患者の反応に応じて治療を調整する反応型
  • ミックス型:理論型と反応型を合わせた考え方

理論型のメソッドだと、理論に合わない患者・クライアントに出会った時に対応できなくなります。理論を考えつつ、反応に応じて治療を調整できるとより臨床的だと思います。

どのメソッドも良い点があり、不足点があります。大事なことは、違う考え方をリスペクトすることではないでしょうか。

ハンズオン VS ハンズオフ

「ハンズオンからハンズオフへつなげる」ということは臨床でよく言われることだと思います。

セラピストの徒手的な介入だけで患者自身が何もしないリハビリだと、受動的な治療になり、セラピストがいないと何もできない状態、また、患者のリハビリテーション依存へとつながる可能性があります。

患者がリハビリに参加することで、患者自身の対応力の向上、また、再発予防へとつながっていきます。また、病態によっては、患者が自分自身で症状・疼痛などをコントロールする必要もあります。

もちろん、状態・ステージよっては、セラピストの介入が中心になることもありますが、ハンズオンからハンズオフにしていくことが医療保険を用いる、また、リハビリテーション実施期間の制限がある医療機関では望ましいでしょう。

ただし、自費診療、コンディショニングという概念の場合、ハンズオフが必ずしも良いとは限りません。クライアントがセラピストを信頼して、定期的に身体を調整することもあるでしょう。

徒手療法の定義は1つではなく、また、メソッドもたくさんあります。

価値観が人それぞれ違うように、治療に対しても違う考え方・視点が国ではなく人それぞれあります。また、自分とは違う考え方・視点を否定するのではなく、受け入れながら、自分の考えを育てていくことが大切だと思います。

〇〇のメソッドがいい、のではなく、この患者・クライアントにはこのメソッドが合う、という考え方もいいのではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。