仙腸関節障害の疼痛軽減テスト

荷重時、自動運動時に疼痛が誘発された場合、直ちに疼痛軽減テストを行います。

”なぜ痛いのか?”を考えながら、”どうしたら痛みが減るのか”を試します。

疼痛がなければ疼痛誘発テストを実施し、疼痛がある・または動作時に疼痛が誘発されたら疼痛軽減テストを実施します。

経験の浅いセラピストは疼痛が出現したら ”メモをとって何もしない” か ”メモをとって考える” 傾向にあります。

疼痛軽減テストは脊椎に限らず、四肢にも共通する考え方です。

「仙腸関節周囲の疼痛があり、仙腸関節障害の検査で陽性だった場合、仙腸関節が原因の可能性が高い」ということを述べてきました。

荷重・姿勢・動作に応じて仙腸関節周囲に疼痛が誘発された場合、、、だけでなく、腰部に疼痛が誘発された場合も、仙腸関節に対して疼痛軽減テストを行います。

腰痛でも?と思われるかもしれませんが、腰椎の動きに伴って腰痛が誘発される場合でも、仙腸関節に介入することで疼痛軽減が認められることがあります。

理由としては、仙腸関節の機能不全により腰部に負担がかかっている、また、仙腸関節障害の関連痛が腰部に出現していることなどが考えられます。

まずは、仙腸関節の基本的な動きについて確認したいと思います。

Nutation / Counternutation

寛骨と仙骨の動きには、Nutation(うなずき運動・前屈運動)と Counternutation(反うなずき運動・後屈運動)があります(1)。

仙骨の前傾(前方回旋)と寛骨の後傾(後方回旋)が同時に起こります。

仙骨の後傾(後方回旋)と寛骨の前傾(前方回旋)が同時に起こります。

* 使用される用語は書籍によって異なります。

臨床で重要となるのは、姿勢・動作ごとにどういった動きが起こるのかです。

腰椎を動かした場合と股関節を動かした場合で覚える必要があります。

腰椎屈曲・伸展ともに、Nutation が起こります。つまり、仙骨は前方回旋、寛骨は後方回旋します(2)(3)。

また、股関節屈曲した時は、寛骨は後方回旋します。

寛骨の後方回旋は仙腸関節の安定性に必要と言われています。Lee(2010)は、Counternutation はいかなるタスクでも起きるべきではないと述べています。

つまり、基本的に、寛骨が前方回旋することはあまりよくないということです。

仙腸関節の疼痛軽減テスト

仙腸関節に対する疼痛軽減テストは、腰椎屈曲・伸展・側屈・回旋時の疼痛に対して可能です。

仙腸関節に対して滑りの力を加えて、疼痛が軽減するか確認します。

仙腸関節に対して介入することで疼痛が軽減すれば、仙腸関節が原因の可能性を示唆します。

ここでは、腰椎屈曲と腰椎伸展に対する仙腸関節の疼痛軽減テストの1つを確認したいと思います。

寛骨の後方回旋と仙骨の前方回旋の滑りを加えた腰椎伸展自動運動(4)

  1. 患者は立位にて、セラピストは健側に立つ。大柄な患者や四つ這いで行う場合は、患側に立つ。
  2. セラピストは、一方の手をASIS(寛骨)に置き、もう一方の手の近位部を仙腸関節に最も近い仙骨に置く。必要に応じて、患者はサポートのためにセラピストの前腕を保持する。
  3. 仙腸関節の関節面(やや外側に斜め)を考慮して、ASISに対して前外側方向、仙骨に対して後内側方向に滑りの力を加えて、腰椎伸展自動運動を行う。セラピストの身体を用いて伸展運動をガイドすると良い。セラピストの寄りかからないように注意する。必要に応じて、回旋や滑りの力のコンビネーションを調整する。

寛骨の後方回旋と仙骨の前方回旋の滑りを加えた腰椎屈曲自動運動(4)

  1. 患者は立位にて、セラピストは健側に立つ。
  2. セラピストは、一方の手をASIS(寛骨)に置き、もう一方の手の近位部を仙腸関節に最も近い仙骨に置く。
  3. 仙腸関節の関節面(やや外側に斜め)を考慮して、ASISに対して後内側方向、仙骨に対して前外側方向に滑りの力を加えて、腰椎伸展自動運動を行う。セラピストの身体を用いて伸展運動をガイドすると良い。セラピストの寄りかからないように注意する。必要に応じて、回旋や滑りの力のコンビネーションを調整する。
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まとめ

仙腸関節に対する疼痛軽減テストについて確認しました。

今回、確認した方法はどちらも寛骨を後方回旋ですが、疼痛軽減のパターンは他にもあります。

寛骨を前方回旋する方法もあります。

また、両寛骨を内旋する、両寛骨を外旋する、寛骨に対して外側滑りの力を加える、といった方法もあります。

ここで確認した方法は一例であって、滑りを加える力や方向はさまざまなパターンがあります。

疼痛軽減テストを実施するか、しないかで臨床のスピートは大きく変わります。

疼痛軽減テストに慣れていない時期は失敗も多いですが、知識・技術・経験を積んでいくことで、成功率も上がってくると思います。

References 

  1. Neumann DA:KINESIOLOGY of the MUSCULOSKELETAL SYSTEM 3e, ELSEVIER, 2017
  2. Diane Lee:The pelvic girdle, Churchill Livingstone, 2010
  3. Magee DJ:Orthopedic physical assessment 6e, 2014
  4. Hing Wayne et al.:The Mulligan Concept of Manual Therapy : Textbook of Techniques, 2015

 

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