クリニカルリーズニング

クリニカルリーズニングとは

クリニカルリーズニング(臨床推論)とは、情報を収集して仮説を形成し決断に至るまでの思考過程のことをいいます。

さまざまな場面でクリニカルリーズニングは行われます。

頭の中では、さまざまな情報を収集して仮説をたて、主観的評価・客観的評価にて肯定・否定する作業を繰り返します。

クリニカルリーズニングは、医師、医療従事者の中では一般的な考え方として浸透しています。理学療法においては、南オーストラリア大学の Mark Jones がクリニカルリーズンングを発展させた一人と言えると思います。

EdwardsとJones によるクリニカルリーズニングの全体像は、クリニカルリーズニングを理解する上で、とてもわかりやすいです。

図をみてみると、セラピストと患者の間に情報収集があります。

情報収集の方法には、主観的評価(問診)と客観的評価(身体評価)があります。

また、事前情報として、医師からの指示書、他院からの申し送り書、受付で書いた問診票、などがあります。

接骨院・治療院・整形外科クリニックなどでは、これらの事前情報がメインになるかと思いますが、他職種からの情報、家族からの情報も重要な情報です。

事前情報から、Cue(重要なキーワード)を抜き出し、仮説をたてていきます。たてられた仮説は各カテゴリー(現病歴、既往歴、社会情報など)に分類されていきます。

では、ケースを考えてみましょう。

この限定された事前情報から何が考えられるでしょうか。

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ここで、「急性期」「炎症」「椎間関節」「筋損傷」といった身体機能・構造だけが頭に浮かんだ場合、患者の一面しか考えられていない可能性があります。

この段階で、環境因子・個人因子が頭に浮かんでくることが大切です。

例えば、「男性、35歳」ということから、

仕事はどうなのか、

結婚・子供はどうなのか、

子育てと腰痛の関係は

腰痛に対する不安はどうだろうか

といったことが仮説として考えられるようになると、患者を人として理解する第一歩となります。

とはいうものの、私も新人のころは身体機能・構造ばっかり考えていました。

身体機能・構造がわかってないので個人因子・環境因子まで考えられていなかったと思います。

誰もが通る道だと思います。

情報を収集したら多数の仮説がでてきます。

このとき、知識・経験が少ないと1つ、または、2つの仮説しかでません。

 

患者自身の仮説を修正

多くの患者・クライアントは患者自身の仮説を持っています。

Jones と Edwards の図では、セラピストだけでなく、患者のフローチャートもあります。

また、セラピストと患者を結ぶ矢印は一方向ではなく、双方向になっています。

つまり、クリニカルリーズニングは、セラピストと患者の相互関係、共同作業から成り立っています。

患者側のフローチャートを見てみると、最初のステップに、”患者自身の仮説 patients’s own hypothesis” とあります。

患者・クライアントは自分自身の症状について、自分自身の仮説を持っています。それはテレビ、インターネットからの情報からかもしれませんし、友人からのアドバイス、別の医療スタッフのアドバイスかもしれません。

「テレビで言っていたんだけど、XXXなんだと思う。」

「痛くなったのは、XXXが原因だと思う」

「XXXをやりすぎたからかなぁ」etc.

という感じですね。

患者自身の仮説、認識、考え方が正しい場合もあれば、誤っている場合もあります。

誤っている場合、修正する必要があります。

しかし、初回評価で、患者自身の仮説を全否定する=信頼関係の破綻につながりやすいです。

その仮説が間違っていたとしたら、否定ではなく、セラピストは修正する必要があります。

患者・クライアントの仮説が間違っていた場合、否定するのではなく最初に共感を示すのも1つの方法です。

例えば、「そうですね、その可能性もあるかもしれません。これから確認していきましょう」といった具合です。

クリニカルリーズニングに関する英文献を読んでいると、”interacting with the patient” とか、 “collaboration with the patient” というような説明がされています。

クリニカルリーズニングはセラピストのみでできるものではなく、患者との相互関係があってできることなんですよね。

そして、その相互関係を築くにはコミュニケーション能力が不可欠です。

 

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クリニカルリーズニングはセラピストに必須の知識・技術です。

経験年数 = expert と考えがちですが、実際には、経験年数があっても expert になれるわけではないとMark Jones は述べています。

また、カナダの理学療法士 Diane Lee は、Clinical expertise とは、知識・技術 + クリニカルリーズニングだと述べています。

クリニカルリーズニングは一朝一夕にはいかないですが、日々精進して、クリニカルリーズニング力を上げていきたいですね。

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