文献抄読:TKA・膝蓋下脂肪体

Preservation vs. resection of the infrapatellar fat pad during total knee arthroplasty Part I: A survey of current practice in the UK

van Furen et al. (2019)
 
人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty)において、膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad: IPFP)のマネジメントをどうするか、UKの医師に行なった調査です。

IPFP の切除が問題になる点として、

膝蓋腱の短縮の可能性

膝蓋骨への血液供給の破綻による骨折リスク増大

膝の運動力学の変化

などが挙げられています。

一方で、膝蓋下脂肪体の保存は、術後の疼痛増大の原因の1つになると議論されています。

というわけで、IPFPのマネジメントについて明確な合意はない(no clear consensus )ので調査しよう、といういことです。

質問は5項目、173名が回答しました。

質問2「TKA を実施するとき膝蓋下脂肪体の好ましい・望ましいマネジメントは何ですか?」という質問に対して

部分切除(partially resected) 62.4 %

完全切除(totally resected)23..1%

保存(preserved) 9.8%

その他 4.6%

という回答でした。

TKAでのIPFPのマネジメントおいて明確に利用できるガイドラインはない、結果として、外科医の間に幅広いばらつきが生じている、とのことです。

福島(2014)MIS-TKA の手術方法において「膝蓋下脂肪体は視野を確保できる程度切除している」とあります。

栗山(2015)内反膝における PCL 温存型 TKA の手術方法において「術野の妨げとなる膝蓋下脂肪体は可及的切除を鋭的に行う」と述べています。

さて、TKA術後に膝蓋下脂肪体リリースなどを実施することがあると思いますが、外来クリニックや治療院においては、膝蓋下脂肪体を保存しているのか、部分切除しているのか、完全切除をしているのか、情報はありません。

執刀医がいる病院では、確認可能だと思いますが。。

膝蓋脂肪体の部分切除に対しては膝蓋下脂肪体リリースと言えますが、完全切除している場合、存在しない膝蓋下脂肪体に対して膝蓋下脂肪体リリースとはいえず、瘢痕組織に対する介入と言うべきなのでしょうか・・・膝は難しいですね。
 
<引用文献>
van Furen et al.:Preservation vs. resection of the infrapatellar fat pad during total knee arthroplasty Part I: A survey of current practice in the UK, Knee , 2019

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30777666/ 

福島・他:MIS人工膝関節置換術のコツとピットフォール, 臨床整形外科 49巻6号

栗山・松田:手術的治療 人工関節置換術 TKA 後十字靱帯温存型人工膝関節全置換術の手術手技, 別冊整形外科1巻67号, 2015
 

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