文献抄読:ACL再建術後・膝伸展可動域・膝過伸展

ACL再建術後のリハビリテーションでは膝伸展可動域の左右差をなくすことが重要と考えられています。

健側がくらいの過伸展であれば左右差をなくすのを目標にすると思いますが、健側の膝が10°以上の過伸展の場合はどうでしょうか? 

The Degree of Knee Extension Does Not Affect Postoperative Stability
or Subsequent Graft Tear Rate After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction With Patellar Tendon Autograft

Benner RW et al. 2016

膝伸展可動域が膝蓋腱を用いたACL再建術後の膝安定性またグラフト断裂率に影響を及ぼすか検討したコホート研究です。

1998年~2008年にACL再建術を施工した2329名のうち、研究の採用基準に合った625名を対象にしています。

イントロダクションを要約すると、

怪我のない学生で、男性95% は平均5° 女性98%は平均の過伸展があることが報告されています。

正常な膝と比較しての膝伸展角度の損失は正常ではない、膝伸展可動域の左右差は長期間でみると変性の原因になるから、健側と等しく equal するのが大事です。

しかし、膝過伸展は大腿骨の the root of intercondyler notch のところで、ACLグラフトのインピンジメンの原因になると懸念されています。若年者で膝過伸展がある場合、ACL再建術後に装具着用また過伸展を避けることを提唱している人たちもいます。

この研究の目的は、ACL再建術後患者で膝の過伸展を獲得した患者群が過伸展のない群と比較して、グラフトの安定性やグラフトの損傷が高いかどうか検討することです。

データーは前向き prospectiely に術後2~5年かけて収集されています。最低2年間のフォローアップが採用基準の1つとしています。

グループA以上の膝過伸展(318名)

グループB 以下の膝過伸展(307名)

の患者は測定のばらつきを考慮して除外しています(1060名)

アウトカムは、関節可動域(ゴニオメーターにて測定)、Cincinnati Knee Rating Surgery, IKDC subjective survey, activity rating survey を患者に送って評価しています。また、ACL損傷後に起きた損傷についても質問紙にて、グラフトの不全については、KT-1000にて、manual maximum difference 5mm 以上としています。

統計手法

  • Fisher exact test:グループ間のグラフ断裂・不全の率の差
  • Satterthwaite t test:グループ間のKT-1000の結果の差
  • Wilcoxon 2-sample test:主観的スコアのノンパラメトリックデータの平均差

結果

フォローアップはグループA278名(87%)、グループB275名(90%)でした。

グループAの膝過伸展の平均は8°±2°、グループBの膝過伸展の平均は0°±3°でした。

すべての患者は膝伸展可動域は等しいまたは術前より良かったとのことですが、3名は以上の左右差があったとのことです。

  • グループ間のグラフトの断裂・不全の率の差

    グループA 22名(6.9% / グループB 30名(9.8%)(P = .246

    さらに、膝過伸展10°以上の患者との患者を比較しても有意な差があるとは言えなかったとのことです。

  • グループ間のKT-1000の結果の差

    グループA 2,0±1.4mm / グループB 2.1± 1.6mmP =.701

  • 主観的スコアのノンパラメトリックデータの平均差

    Cincinnati Knee Rating Surgery P = . 155

    IKDC subjective surveyP = . 933

    activity rating survey(術前:P = .352)(術後:P = .811

考察(一部)

わずかの膝伸展可動域の損失は膝機能の低下および膝関節炎のリスクを増大させるから、健側が過伸展の場合、術後の膝伸展は過伸展を含む必要があります。

膝過伸展がある患者に対しては、膝蓋腱グラフトの使用が適しているかもしれない。

10°以上の膝過伸展があったとしても、膝完全過伸展を得るための術後プロトコールを調整するべきではないというのが私たちの見解です。

結論

膝過伸展の群は、ACLグラフの断裂・不全の率、靱帯の不安定性、主観的機能評価、主観的不安定性に影響を与えていなかったか。

研究の限界は膝蓋腱を用いたACL再建術後患者であるため、日本で多い半腱腰筋腱・薄筋腱を用いた患者でも同様のことが言えるか不明、とのことです。

 

 

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