文献抄読:ACL・膝伸展可動域・全身関節弛緩性

Generalised joint hypermobility increases ACL injury risk and is associated with inferior outcome after ACL reconstruction: a systematic review
 
Sundemo D et al. (2018)
 
関節の過可動性(以下、GJH:generalized joint hypermobility )とACL損傷リスクの関連性と、GJHと術後アウトカム(グラフト不全リスク、膝不安定性、患者報告アウトカム)の2つを調べたシステマティックレビューです。
 
* generalized joint hypermobility は文献内では「自動・他動ともに正常な関節可動域を超えることが可能な滑膜性関節の過伸張性 hyperextensibility」としています。
 
塚越(2019)によると、「多関節に弛緩性を認め、さらに痛みなどの臨床症状を有するものが狭義のjoint hypermobility syndrome と称されるが、本稿では全身関節弛緩性陽性例を generalized joint hypermobility (GJH)として執筆する」とあります。
 
データーベースは、MEDLINE/ PubMed, EMBASE, Cochrane Libraryを用いて、2760個の研究のうち、20の研究を採用しています。
 
<結果>
 
男性においてはGJHは片側のACL損傷のリスク因子になるという一致したエビデンスによって示されたが、女性については結果は相反 conflictin していた。 
 
GJHと術後5年の膝不安定性の増大については、限定 limited されたエビデンスだった。
 
GJHの患者は、術後の患者報告アウトカムは劣っていたという一致 consitent したエビデンスだった。
 
GJHの患者の膝不安定性および患者報告アウトカムにおいて、膝蓋腱の自家移植はハムストリングスの自家移植よりも優れていたという、限定されているが一致したエビデンスだった。
 
両側のACL損傷とグラフト不全のアウトカムについては、結果を導くのに不十分 insufficient なエビデンスだった。 
 
<結論>
 
男性において、GJHは片側のACL損傷のリスクを上げることに関連していた。
 
また、GJHは術後の膝不安定性の増大と術後の患者報告アウトカムの低下に関連していた。
 
利用可能なエビデンスによると、GJHの患者おいて膝蓋腱の自家移植はハムストリングスの自家移植よりも優れていたが、これらのエビデンスは 異質 heterogenous があるためスポーツ医学におけるGJHの評価には合意が必要だろう。
 
とのことです。
 
ACL損傷と全身関節弛緩の関連を報告している研究は多いです。 
 
ACL再建術後の膝伸展可動域の左右差は、膝機能の低下また変性リスクの増大と関連しているといわれます。
 
一方で、全身関節弛緩性(膝の過伸展を含む)は、膝の不安定性またACL損傷リスク増大と関連していると報告があります。
 
健側が膝過伸展のACL再建術後患者の術側の膝伸展可動域は健側と同じくらいにするべきなのか?
 
という臨床での疑問は、ACL再建術後患者を担当するセラピストなら1度は考えたことがあるのではないでしょうか。
 
基本的には、膝伸展可動域の左右差をなくすことを目標にすると思いますが、執刀医・医師の方針に従う必要があるでしょう。

 

引用文献

堀越:関節弛緩, 整形外科 vol.70 No.6

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